「葭始生」とは?あしはじめてしょうずの意味と季節の楽しみ方

葭始生(あしはじめてしょうず)は七十二候のひとつで、穀雨(こくう)の初候にあたります。水辺に自生する葦(あし)が新芽を出し始めるようすを表した候です。

目次

意味と由来

「葭始生」は、「葭(あし)はじめて生ず」と読み下すことができます。葭(葦)はイネ科の大型多年草で、河川の岸辺や湿地帯に群生する植物です。穀雨を迎えるころ、水ぬるむ湿地では葦の若芽が水面を突き破るように顔を出し始めるとされています。

葦は古くから日本の風土と深く結びついてきた植物です。日本の古い国名のひとつに「豊葦原瑞穂国(とよあしはらのみずほのくに)」があることからも、葦が原風景を形づくる植物であったことがうかがえます。

なお「あし」は「悪し」に通じるとして忌み嫌われ、「よし(善し)」と呼び替えるようになったとされています。現在でも「ヨシ」と呼ばれることが多いのは、こうした言い換えの名残といわれています。

この時期の自然と暮らし

  • 葦の新芽 — 河川敷や湿地帯で葦の若い緑色の芽が姿を見せ、水辺に春の訪れを告げるとされている
  • 穀物への恵みの雨 — 穀雨の名のとおり、農作物の生育を助ける春の雨がしっとりと降り注ぐ時期にあたる
  • 春の野草摘み — ヨモギやツクシなど、春の野草が盛りを迎え、野原での山菜摘みが楽しめるとされている
  • 田植えの準備 — 各地で苗代づくりや田おこしなど、本格的な稲作に向けた準備が進められる時期となる

補足・豆知識

葦は単なる野草にとどまらず、日本の暮らしに多くの恵みをもたらしてきた植物です。茎は葦簀(よしず)として夏の日よけに使われ、屋根の葺き材としても利用されてきました。また、葦の茂る湿地帯は水質を浄化する働きがあるとされ、現代では環境保全の観点からも注目されています。

琵琶湖畔や渡良瀬遊水地など、全国各地の水辺には今も広大な葦原が残っています。春先に行われる「ヨシ焼き」は、新芽の芽吹きを促し病害虫を駆除する伝統的な管理手法として知られています。

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