牡丹華(ぼたんはなさく)は七十二候のひとつで、穀雨(こくう)の末候にあたります。牡丹の花が大輪の花を咲かせるようすを表した候です。
目次
意味と由来
「牡丹華」は、「牡丹の花咲く」と読み下すことができます。穀雨の末候を迎えるころ、各地の庭園や寺院では牡丹が華麗な大輪の花を開き、春の終わりを豪華に彩るとされています。
牡丹は中国原産のボタン科の落葉低木で、古くは「花の王」「百花の王」と称されてきました。日本には奈良時代に中国から薬用植物として伝わったとされ、やがてその美しさから観賞用として広く栽培されるようになりました。平安時代の貴族たちも牡丹を愛で、歌や絵画の題材として数多く取り上げています。
牡丹の花は直径が二十センチメートルを超えるものもあり、幾重にも重なった花弁がふくよかに開く姿は「花の王」にふさわしい風格を備えています。花の色は赤、白、紫、桃色など多彩で、品種も数百種にのぼるとされています。
この時期の自然と暮らし
- 牡丹の名所めぐり — 奈良の長谷寺や島根の由志園など、全国各地の牡丹園や寺院で見事な牡丹が楽しめる時期とされている
- 春から初夏への移り変わり — 穀雨の末候は春の最後の候にあたり、暦の上ではまもなく立夏を迎える節目の時期である
- 藤の花の見ごろ — 牡丹と同じころ、藤棚に紫や白の藤の花が房状に垂れ下がる美しい光景が見られるとされている
- 初夏の衣替え準備 — 日中の気温が上がり、そろそろ薄手の衣類を用意する時期にあたる
補足・豆知識
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言い回しは、美しい女性の姿を花にたとえたものとされています。牡丹は枝の先端に花を付けるため横から眺めるのが美しいとされ、「座って見る花」として親しまれてきました。
また、牡丹は花の美しさだけでなく、根の皮は「牡丹皮(ぼたんぴ)」という漢方薬の原料としても珍重されてきました。消炎や鎮痛の効能があるとされ、薬用と観賞の両面で人々の暮らしに寄り添ってきた植物です。穀雨の末候が過ぎると暦の上では夏を迎えます。
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