紅花栄(べにばなさかう)は七十二候のひとつで、小満(しょうまん)の次候にあたります。紅花(べにばな)が盛んに咲き誇るようすを表した候です。
目次
意味と由来
「紅花栄」は、「紅花栄う(さかう)」と読み下すことができます。小満の次候を迎えるころ、畑一面に紅花が鮮やかな花を咲かせ、初夏の野山を彩るとされています。
紅花はキク科の一年草で、原産地はエジプトや中近東とされています。日本には飛鳥時代ごろに中国を経て伝わったとされ、古くから染料や化粧品の原料として重宝されてきました。万葉の時代には「末摘花(すえつむはな)」と呼ばれ、花の先端を摘んで染料にしたことからこの名がついたとされています。
紅花の花は咲き始めは鮮やかな黄色ですが、次第に赤みを帯びて朱色へと変化していきます。この花から抽出される赤い色素は「紅(べに)」として、衣類の染色や女性の口紅に用いられてきました。特に山形県は紅花の一大産地として知られ、江戸時代には「最上紅花」の名で高い評価を得ていたとされています。
この時期の自然と暮らし
- 紅花の見ごろ — 山形県をはじめとする産地では紅花畑が見ごろを迎え、黄色から朱色へと移り変わる美しい花が楽しめるとされている
- 衣替えの季節 — 初夏の陽気が定着し、夏物の衣類に切り替える時期にあたる
- 梅雨入り間近 — 西日本から順に梅雨入りが発表され、じめじめとした季節の到来が感じられる時期とされている
- 蛍の出始め — 水辺ではゲンジボタルが光り始め、初夏の夜を幻想的に演出するとされている
補足・豆知識
紅花から得られる染料には、黄色い色素と赤い色素の二種類が含まれています。赤い色素はわずかしか含まれず抽出に手間がかかるため、紅花染めの赤は非常に高価で、「紅一匁(もんめ)、金一匁」と金と同等の価値があったとされています。
紅花は染料としてだけでなく、漢方薬としても利用されてきました。血行を促進する効能があるとされ、「紅花(こうか)」の名で生薬に用いられています。また種子からは良質な食用油(サフラワー油)がとれることでも知られています。
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