芹乃栄(せりすなわちさかう)は七十二候のひとつで、小寒(しょうかん)の初候にあたります。1月5日ごろから1月9日ごろまでの時期を指し、芹(せり)が水辺で盛んに生い茂るようすを表しています。
目次
意味と由来
「芹乃栄」は、「芹がすなわち栄える」と読み下すことができます。芹はセリ科の多年草で、冷たい水辺や湿地に自生する植物です。厳しい寒さの中でもみずみずしい緑の葉を広げ、力強く育つことから、この時期の候として選ばれたとされています。
芹は春の七草のひとつとしても知られており、1月7日の七草粥には欠かせない食材です。七十二候の「芹乃栄」がちょうど七草粥の時期と重なるのは、暦と食文化が深く結びついていることを示しています。
古来、芹は日本各地の湿地や田んぼの畦に自生しており、身近な山菜として親しまれてきました。独特の香りとほろ苦さがあり、冬の味覚として重宝されてきた食材です。
この時期の自然と暮らし
- 七草粥 — 1月7日に春の七草(芹・薺・御形・繁縷・仏の座・菘・蘿蔔)を粥にして食べ、無病息災を願う風習がある
- 寒の入り — 小寒を迎えて「寒の内」に入り、寒中見舞いを出す時期となる
- 冬鳥の飛来 — 水辺ではカモやハクチョウなど冬の渡り鳥が見られる時期にあたる
- 寒仕込みの開始 — 味噌や日本酒など、寒さを利用した伝統的な仕込みが始まるとされている
補足・豆知識
芹は競り合うように群生することから「せり」と名付けられたとされています。古くは『万葉集』にも詠まれており、日本人にとって馴染みの深い植物です。
また、芹は栄養価が高く、ビタミンやミネラルを豊富に含むとされています。かつては冬場の貴重な青菜として、食卓に彩りを添える存在でした。現在でも秋田のきりたんぽ鍋や宮城のせり鍋など、東北地方を中心に芹を使った郷土料理が受け継がれています。厳冬期にこそ旬を迎える芹は、冬の自然の恵みを象徴する食材といえるでしょう。
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