山茶始開(つばきはじめてひらく)は七十二候のひとつで、立冬(りっとう)の初候にあたります。暦の上で冬が始まるこの時期に、山茶花(さざんか)が花を開き始めるようすを表しています。
目次
意味と由来
「山茶始開」の「山茶」は、現代では椿(つばき)を連想させますが、実際にはこの候が指すのは山茶花(さざんか)であるとされています。中国から伝わった暦の表現が日本に取り入れられる過程で、椿と山茶花の呼び名が入れ替わったという説が広く知られています。
山茶花はツバキ科の常緑樹で、晩秋から初冬にかけて花を咲かせます。椿よりもやや早い時期に開花し、花びらが一枚ずつ散るのが特徴です。一方、椿は花ごとぽとりと落ちることで知られており、両者は見た目が似ていても散り方に大きな違いがあります。
木枯らしが吹き始め、木々の葉が落ちていくなかで、鮮やかなピンクや白の花を咲かせる山茶花は、冬枯れの景色に彩りを添える貴重な存在といえるでしょう。
この時期の自然と暮らし
- 山茶花の開花 — 生け垣や庭先で山茶花が咲き始め、冬の到来を知らせる花として親しまれている
- 木枯らし — 冬型の気圧配置が現れ、北寄りの冷たい強風が吹くことがある
- 冬支度 — 暖房器具の準備やコートの衣替えなど、本格的な冬に向けた備えが始まる時期にあたる
- 紅葉の見ごろ — 地域によっては紅葉が見ごろを迎え、秋と冬の景色が同時に楽しめるとされている
補足・豆知識
山茶花は日本原産の植物で、江戸時代にはヨーロッパへ渡り「サザンカ(Sasanqua)」の学名で広まりました。
童謡「たきび」の歌詞にも山茶花が登場するように、日本の冬の風物詩として広く認知されている花です。花の少ない冬の時期に長く咲き続けることから、茶花としても重宝されてきました。立冬を迎えて冷え込みが厳しくなるなかで、凛と咲く山茶花の姿は、冬の始まりを静かに告げる自然の便りといえるでしょう。
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