霞始靆(かすみはじめてたなびく)は七十二候のひとつで、雨水(うすい)の次候にあたります。春の温かい空気が広がるにつれて、山や野に霞がたなびき始める時期を表しています。
目次
意味と由来
「霞」は春に見られる大気のぼんやりとしたかすみのことで、「靆」は雲やもやがたなびく様子を意味する漢字です。暖かくなり始めた空気中の水蒸気が増え、遠くの景色がぼんやりとかすんで見える現象を、古来の人々は「霞がたなびく」と表現しました。
日本語では、春のかすみを「霞(かすみ)」、秋のかすみを「霧(きり)」と呼び分ける伝統があります。気象学的には同じ現象ですが、季節によって呼び名を変えるところに、日本人の繊細な季節感が表れているとされています。
霞は古くから和歌や絵画の題材としても好まれてきました。春霞の向こうにうっすらと見える山の稜線や花の色は、はっきりと見えるものとは異なる趣があり、日本の美意識である「幽玄」にも通じるものがあるといえます。
この時期の自然と暮らし
- 春霞の風景 — 朝夕を中心に、山や遠景がぼんやりとかすんで見えるようになる
- 気温の上昇 — 日中の気温が少しずつ上がり、空気がやわらかく感じられる
- 花粉の季節 — スギ花粉の飛散が本格化し始める時期でもある
- 梅の見ごろ — 各地で梅が見ごろを迎え、梅まつりが開催されることが多い
補足・豆知識
「靆」という漢字は日常ではほとんど目にしない字ですが、もともとは雲が厚く重なる様子を表すとされています。七十二候には、このようにふだん使わない漢字が含まれていることがあり、それもまた古い暦のことばならではの趣深さです。
春霞は、黄砂や花粉と重なって見えることもありますが、本来は水蒸気による自然現象です。晴れた日の朝、遠くの山並みがうっすらとぼやけて見えたら、それが春の霞かもしれません。冬の澄んだ空気とは異なるやわらかな景色を楽しめるのは、この時期ならではの贅沢といえるでしょう。
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