蟷螂生(かまきりしょうず)は七十二候のひとつで、芒種(ぼうしゅ)の初候にあたります。カマキリが卵から孵化して姿を現すようすを表した候です。
目次
意味と由来
「蟷螂生」は、「蟷螂(かまきり)生ず」と読み下すことができます。芒種を迎えるころ、秋のうちに産みつけられた卵鞘(らんしょう)から小さなカマキリの幼虫が次々と誕生するとされています。
カマキリは、前脚が鎌のような形をしていることから「鎌切り」と呼ばれるようになったとする説が広く知られています。漢字の「蟷螂」は中国由来の表記で、「蟷螂の斧」という故事成語は自分の力を省みずに強い相手に立ち向かうたとえとして使われてきました。
カマキリの卵鞘は、木の枝や塀などに泡状の塊として産みつけられます。ひとつの卵鞘からは百匹から三百匹もの幼虫が一斉に孵化するとされ、初夏の訪れを告げる自然の営みとして観察されてきました。
この時期の自然と暮らし
- カマキリの孵化 — 庭先や草むらで、卵鞘から小さなカマキリの幼虫が一斉に生まれ出る姿が見られることがあるとされている
- 梅雨入り — 多くの地域で梅雨入りを迎え、しとしとと雨が降り続く季節に入るとされている
- 田植えの最盛期 — 「芒種」の名のとおり穀物の種蒔きや田植えが盛んに行われる時期にあたる
- 紫陽花の開花 — 梅雨どきを代表する花である紫陽花が色づき始め、雨に濡れた花の美しさが楽しめるとされている
補足・豆知識
カマキリは肉食性の昆虫で、害虫を捕食することから農家にとってありがたい益虫とされてきました。アブラムシやバッタなどを捕らえるため、自然農法では害虫の抑制に役立つとされています。
カマキリの卵鞘が高い位置に産みつけられていると大雪になるという言い伝えが各地に残っています。科学的な根拠は明確でないとされていますが、昔の人々がカマキリの行動から天候を読み取ろうとしていたことがうかがえます。また、カマキリは擬態の名人としても知られ、緑色や褐色の体色で草木に溶け込む姿は自然の巧みな適応の一例です。
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