金盞香(きんせんかさく)は七十二候のひとつで、立冬(りっとう)の末候にあたります。水仙の花が咲き、清らかな香りを漂わせるようすを表しています。
目次
意味と由来
「金盞香」の「金盞」は金色の盃(さかずき)を意味し、水仙の花の中心にある黄色い副花冠の姿をたとえたものとされています。「香」は花が芳香を放つことを表しており、水仙が咲いて良い香りがするという情景を端的に描いた候名です。
「きんせんか」と読むと春に咲くキク科のキンセンカ(カレンデュラ)を思い浮かべがちですが、この候が指すのは冬に咲くニホンズイセン(日本水仙)であるとされています。名前の類似から混同されやすい点は、七十二候を学ぶうえでよく話題にのぼります。
水仙は地中海沿岸が原産とされ、シルクロードを経て中国に伝わり、さらに日本へ渡来したと考えられています。日本では房総半島、越前海岸、淡路島などが群生地として知られています。
この時期の自然と暮らし
- 水仙の開花 — 日本水仙が咲き始め、凛とした姿と甘い香りで冬の庭や野を彩る
- 七五三 — 子どもの健やかな成長を祝う七五三参りが行われる時期にあたる
- 新酒の仕込み — 酒蔵では新米を使った日本酒の仕込みが始まるとされている
- 冬の星座 — 夜空にオリオン座やおうし座など冬の星座が姿を見せ始める
補足・豆知識
水仙の学名「ナルキッソス(Narcissus)」は、ギリシャ神話で水面に映った自分の姿に恋をした美少年ナルキッソスに由来するとされています。水辺にうつむくように咲く水仙の姿が、水面をのぞき込むナルキッソスを思わせることから名付けられたといわれています。
なお、水仙は全草に毒性があり、特に球根にはリコリンなどの有毒成分が含まれるとされています。葉がニラに似ているため誤食事故が報告されることもあり、取り扱いには注意が必要です。冬枯れの景色のなかで凛と咲く水仙は、立冬の締めくくりにふさわしい清楚な花といえるでしょう。
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