款冬華(ふきのはなさく)は七十二候のひとつで、大寒(だいかん)の初候にあたります。1月20日ごろから1月24日ごろまでの時期を指し、凍てつく大地の下から蕗の薹(ふきのとう)が顔を出し、花を咲かせ始めるようすを表しています。
目次
意味と由来
「款冬」は蕗(ふき)の漢名で、中国から伝わった呼び名です。「款冬華」は「款冬(ふき)の華(はな)が咲く」という意味になります。一年で最も寒い大寒の時期に、雪の下からひょっこりと姿を現すふきのとうの生命力を讃えた候といえるでしょう。
ふきのとうは蕗の花茎で、早春を代表する山菜として広く知られています。まだ雪が残る時期に、丸みを帯びた淡い黄緑色のつぼみが地面から顔を出すようすは、春の訪れをいち早く告げる風物詩とされています。
最も寒さの厳しい時期にあって、すでに植物が春への準備を始めているという事実は、自然の力強さを感じさせるものです。七十二候が伝えようとしているのは、まさにそうした目に見えにくい季節の変化なのかもしれません。
この時期の自然と暮らし
- 大寒卵 — 大寒の日に産まれた卵は栄養価が高く縁起が良いとされている
- 寒仕込みの最盛期 — 味噌や醤油、日本酒の寒仕込みが佳境を迎える
- ふきのとうの収穫 — 雪解けの早い地域では、ふきのとうを摘む楽しみがある
- 凍り豆腐づくり — 厳しい寒さを利用して高野豆腐(凍り豆腐)を作る伝統がある
補足・豆知識
ふきのとうは独特のほろ苦さと香りが特徴で、天ぷらやふき味噌として食されることが多い山菜です。このほろ苦さには「フキノール酸」などの成分が含まれており、冬の間に鈍った体の新陳代謝を促すとも考えられています。
「款冬」という名前の由来には諸説ありますが、氷を突き破って冬に咲くことからこの名がついたとする説があります。俳句では「蕗の薹」は春の季語として親しまれ、早春の風景を象徴する存在となっています。
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