鱖魚群(さけのうおむらがる)は七十二候のひとつで、大雪(たいせつ)の末候にあたります。鮭(さけ)が産卵のために群れをなして川を遡上するようすを表しています。
目次
意味と由来
「鱖魚群」の「鱖魚」は本来、中国では淡水魚のケツギョ(桂魚)を指す漢字とされていますが、日本では鮭に読み替えられています。日本の風土に合わせて七十二候の解釈が変化した例のひとつで、冬の川に群がる鮭の姿が日本人にとってより身近な情景であったことがうかがえます。
鮭は川で生まれた後に海へ下り、数年間を北の海で過ごしたのち、産卵のために生まれた川へ戻ってくる「母川回帰」の習性を持つとされています。嗅覚で川の匂いを記憶しているという説が有力ですが、詳しいメカニズムには未解明の部分も残っています。
遡上する鮭は体色が銀色から赤や緑に変化し、雄は「鼻曲がり」と呼ばれる独特の顔つきになります。浅瀬で産卵を終えた鮭は、やがて力尽きてその生涯を閉じます。
この時期の自然と暮らし
- 鮭の遡上 — 北海道や東北地方の河川で鮭の遡上が見られ、各地に観察スポットが設けられている
- 新巻鮭の仕込み — 正月に向けて塩漬けにした新巻鮭を用意する風習が残る地域があるとされている
- 正月準備の本格化 — 年末の大掃除やおせち料理の仕込みなど、新年を迎える準備が本格的に始まる
- 冬の渓流の静けさ — 遡上する鮭を除けば、川は冬枯れの静かな表情を見せる
補足・豆知識
鮭は日本の食文化において重要な魚で、古くから保存食として利用されてきました。新潟県村上市では塩引き鮭や酒びたしなど百種類以上の調理法が伝えられているとされています。
また、アイヌの人々にとって鮭は「カムイチェプ(神の魚)」と呼ばれる特別な存在であり、精神文化においても重要な位置を占めていました。産卵のために命をかけて川を遡る鮭の姿は、生命の力強さを感じさせる大雪の末候にふさわしい冬の情景といえるでしょう。
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