鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)は七十二候のひとつで、大寒(だいかん)の末候にあたります。1月30日ごろから2月3日ごろまでの時期を指し、鶏が春の気配を感じて卵を産み始めるようすを表しています。
目次
意味と由来
「鶏始乳」の「乳」は「産む」を意味し、鶏が卵を産み始めることを表しています。和名の「にわとりはじめてとやにつく」は、鶏が鳥屋(とや=鶏小屋)について卵を温め始めるという意味です。
本来、鶏は日照時間の変化に敏感な生き物で、日が長くなり始めると産卵が活発になるとされています。大寒の末候は冬至から約40日が経ち、日の長さが少しずつ伸びてきた時期にあたります。鶏はそのわずかな光の変化を敏感に感じ取り、産卵を始めるのです。
現代の養鶏では照明管理によって年間を通じて産卵が可能になっていますが、かつての自然養鶏では冬場に産卵が減り、春先から再び増えるのが一般的でした。この候は、そうした自然のリズムに基づいた観察から生まれたものと考えられています。
この時期の自然と暮らし
- 節分 — 大寒の末候が終わるころ、立春の前日にあたる節分を迎える
- 恵方巻 — 節分にその年の恵方を向いて太巻き寿司を食べる風習が広まっている
- 梅のつぼみ — 早咲きの梅がつぼみをふくらませ、開花の準備を進める時期にあたる
- 大寒卵 — 大寒の時期に産まれた卵は栄養価が高いとされ、縁起物として珍重される
補足・豆知識
「大寒卵」は大寒の日に産まれた卵を指し、風水などでは金運や健康運を呼ぶ縁起物とされています。寒さが厳しく鶏の産卵数が減る時期に産まれた卵は、栄養が凝縮されているとも考えられてきました。
鶏始乳は大寒の末候であると同時に、冬の二十四節気の最後の候でもあります。この候が過ぎると立春を迎え、暦の上では春が始まります。鶏が卵を産み始めるという生命の営みが、冬から春への移行を象徴しているといえるでしょう。
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