熊蟄穴(くまあなにこもる)は七十二候のひとつで、大雪(たいせつ)の次候にあたります。熊が冬眠のために穴に入り、春が来るまでこもるようすを表しています。
目次
意味と由来
「熊蟄穴」の「蟄(ちつ)」は虫や動物が地中にこもるという意味を持つ漢字です。二十四節気の「啓蟄(けいちつ)」が「蟄(こも)っていた虫が目覚める」ことを意味するのに対し、「熊蟄穴」は熊が穴にこもる時期を表しており、季節の対比が見られます。
熊の冬眠は、食物が乏しくなる冬を省エネルギーで乗り越えるための生存戦略とされています。秋のうちにどんぐりや木の実などを大量に食べて脂肪を蓄え、気温が下がると樹洞や岩穴に入って冬眠に入ります。冬眠中は心拍数や呼吸数が減少するとされていますが、他の冬眠動物に比べると体温の低下幅は小さいことが知られています。
日本にはツキノワグマとヒグマの二種が生息しており、いずれも冬眠を行います。冬眠の時期や期間は地域や気候条件によって異なるとされています。
この時期の自然と暮らし
- 動物の冬眠 — 熊のほかにも、ヤマネやコウモリなど多くの動物が冬眠に入る時期にあたる
- 冬の山 — 山に雪が積もり始め、登山のシーズンが終わりを迎える
- 年末の行事 — お歳暮や年賀状の準備、忘年会など年末行事が盛んになるとされている
- 保存食づくり — たくあんや白菜漬けなど、冬の漬物を仕込む時期として知られている
補足・豆知識
熊の冬眠中にはメスが出産することがあり、穴の中で生まれた子熊は母乳で育てられるとされています。母熊は蓄えた脂肪だけで子育てを行い、春に親子連れで穴から出てくる姿が見られることがあります。
また、熊は「冬眠」するとはいうものの、厳密には完全な睡眠状態ではなく、外部の刺激に対して覚醒できる「冬ごもり」に近い状態であるとする研究者もいます。熊が穴にこもるこの候は、自然界の生き物たちが厳冬を乗り越えるための知恵を感じさせる、冬ならではの節目といえるでしょう。
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